地すべり学会北海道支部・北海道地すべり学会共通コンテンツ 地すべり

地すべりとは?

地すべり(landslide(s))とは斜面を構成する物質が斜面下方へ塊の状態で運動する現象をいう。

ここで「斜面を構成する物質」とは斜面の地表面から「運動」に関係する範囲の深さまでの岩石・土砂礫・植生などの固体・水など液体・空気やガスなど気体をすべて含み、また「運動」開始直前の物質の状態と斜面に定置していた時間の長短を問わない「塊の状態」とは岩塊一個の場合もあれば、多数の岩塊がより細粒の岩屑・土砂礫・さらには液体や気体などと一体になって、ある空間領域を占有している状態をあらわす。

したがって,「斜面下方へ塊の状態で運動する」とはこれらの物質が一体となって、位置および範囲が時間で変動する空間を占有して、斜面上における重力の位置のポテンシャルがある値の場所から、そのポテンシャルがより小さい場所へ移動することを意味する。
なお、この運動の途中における物質の塊からの出入りも随伴するものとして包合する。

次に、これらの「現象」が発生する環境は岩圏と気圏の境界部のみならず、岩圏と水圏との境界部を含むものとし、さらに気圏も水圏も存在しない岩圏の表面のみも含むものとする。「岩圏と気圏の境界部」に発生する地すべりとは陸地における地すべりであり、「岩圏と水圏の境界部」に発生するものは海底地すべりや湖底地すべりを示している。 これらは地球上における地すべりを主に対象にしたものである。

しかし、他の固体惑星や衛星上においても地球上の地すべりに類似した現象が認められており、大気の存在しない月面にも大規模な地すべりによる地形が認められている。(Howard,1973;Hsü,1978)
また、大気の希薄な火星表面でも類似の地形が認められている。(小松,1997)
これらも、地すべりとして認識できる。
それゆえ「気圏も水圏も存在しない岩圏の表面」も地すべりの発生環境に含めて良いと考える。

「地すべり-地形地質的認識と用語-」(社団法人日本地すべり学会)より抜粋